1994年F1-サンマリノGP決勝
繰り返された悪夢
決勝日。
ポールはセナ。二番手にマイケル。シーズン開幕後のフロントローは変わらぬ顔ぶれ。
スタート。
5番手のJ.J.レートがストール。
真後ろ(7番手)のフレンツェンが大きく右へ。
タイヤスモークの中各車が寸前でよけていくが、反対側(ピットウォール側)からスタートしたロータスのペドロ・ラミーがよけきれずに激しく追突。
レートの車は左半分、ラミーの車は右半分がまたも壊れ、タイヤを含めた数多くの破片が観客席に飛び込む。
ロータスは激しくスピンしながら外側の壁に向かう。
コース上に散乱した破片と流れ出るオイル。
セーフティ・カー。
セーフティ・カーの後ろで、黄色の回転灯を見ながら、何を思っていたのだろう。
スタートライン付近、アイルトンだけがラインを変えずに通過。
オイルや破片があるかもしれなかったそこを、彼だけはよけずに通過していた。
レース再開後第2周目の7周目。
左高速コーナーでのマイケルのオンボードから、前方をゆくセナのマシンが右に消えていき、マイケルのヘルメットがちらりとそちらを向く。
ヴィルヌーヴ飛び込みのカメラ、セナのマシンが壁に吸い込まれ、はじき飛ばされる。
絶叫するアナウンサー、飛び散る破片、フェラーリが、ウィングを踏んで後方へ巻き上げる。
赤旗。
医療チームが救出にあたる。
右半分がなくなったマシンとその横に横たわるセナ、血だまり。
ウィリアムズのメカマン。
ヘリコプターがコース上に降りる。そこへ何故かラルースのエリック・コマスがレーシング・スピードでさしかかり慌てて止められる。
ヘリコプターに乗せられて病院へ直行するセナ。
レース再開。
ゲルハルト・ベルガーがトップに(ただし2ヒート制のため順位はマイケルが上)たつも、数周後にアクア・ミネラリで失速しマイケルトップ。
途中、RAIがマイケルの姿を見失う。
その間に、前日チームメイトを亡くしたデビッド・ブラバムがリタイヤ。
ミナルディのミケーレ・アルボレートがピットアウトした際、右リアタイヤがピットレーンで外れ、フェラーリとロータスのメカニックにあたってしまう。
アルボレートはピットレーン出口でリタイヤ。
レースはマイケル優勝、2位ニコラ・ラリーニ、3位ミカ・ハッキネン。
その後、セナの死亡が伝わる*1。
巨星墜つ。
けれど。
このグランプリで亡くなったのはセナだけじゃない。
ローランド・ラッツェンバーガーとアイルトン・セナ、この二人だということを忘れたくない、忘れてはならない。
セナだけじゃない。
*1:日本での放送は録画放送を中断して現地から生中継訃報を流したのちレース映像に